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平成29年度ダイバーシティ教育研究環境実現シンポジウム「ロールモデルの多様化と理工系女性研究者の育成」を開催しました

去る平成29年9月20日(水)13:30~16:20、大阪大学中之島センターの佐治敬三メモリアルホールにて標記のシンポジウムを開催しました(主催:大阪大学、共催:国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所、ダイキン工業株式会社、協力:大阪大学21世紀懐徳堂)。このシンポジウムはダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)事業の一環として、本学が自然科学系女性研究者の育成のために行っている取組を、関西の公立・私立大学とも連携し、関西地域に拡がる取組として展開する可能性を検討する場として企画したものです。参加者は127名(うち女性67名)。

前半では文部科学省科学技術・学術政策局 人材政策課人材政策推進室長の伊藤賢氏(右写真)による来賓挨拶の後、大阪大学社会経済研究所の大竹文雄教授による「競争社会における女性」と、経済産業省産業技術環境局 大学連携推進室長の飯村亜紀子氏による「ダイバーシティがオープンイノベーションを活性化する~大学・産業界への期待~」の、2題の講演が行われました。

大竹教授(左写真)は経済学の視点から、理系女性研究者や女性管理職者が日本に少ない理由を分析。社会に残る男女格差につながる偏見や差別も、実験を通して見えてきた「男性に比べて女性は競争を好まず自信過小になりやすい」という傾向も、男女の生物学的性差ではなく文化的要因によるものであるとした上で、それらを是正する教育や、健全な「競争」が社会には必要、と説明しました。女性には高めの目標設定を指導したり、競争意識が発現しやすい女性同士の研究グループを作ることで成長を促す、女性ロールモデルの提示で次世代の底上げをするなど、大学での女性研究者育成においても実践可能なアイデアが示されました。

飯村氏(右写真)は、近年のIoT、ビックデータ、AI、ロボットというキーワードで示される技術が急速な社会変革を促し、特に科学技術の国際的競争の中、日本では理系人材の育成が喫緊の課題となっている状況を説明しました。新しい領域の研究と人材育成は、企業と大学の連携で進める必要があり、資金・知・人材を循環させる新しい産学連携のあり方が目指されています。クロスアポイントメント(以下「クロアポ」)は、複数機関において常勤の身分や待遇を維持しながら、大学等の研究設備を利用して研究力を向上できる、研究者のネットワークを拡大できる等の利点がある一方、最初の事例をつくるにあたっては制度上の調整など、困難が伴います。大阪大学が国立大学でも先駆けて産学クロアポを実施したことについて、「先行事例ができれば、他大学がその後に続きやすくなる。大阪大学にはぜひがんばってほしい」と期待を述べました。

パネリスト(右から): 大阪大学 田中敏宏 総長参与・工学部長・大学院工学研究科長、
大阪府立大学 石井実 理事・副学長、大阪市立大学 櫻木弘之 理事・副学長、
関西大学 前田裕 常任理事・副学長、大竹文雄教授、飯村亜紀子氏、
ファシリテーター:大阪大学 工藤眞由美 理事・副学長・男女協働推進センター長

後半は、大阪府立大学、大阪市立大学、関西大学の理事・副学長と、大阪大学工学研究科長、大竹教授、飯村氏の6名をパネリストに迎えたパネルディスカッション「関西の大学間連携による理工系女性研究者育成に向けて」を、大阪大学男女協働推進センター長の工藤眞由美 理事・副学長の進行で行いました。大阪大学にクロアポで着任した2人の女性教員(武庫川女子大学准教授/大阪大学工学研究科特任准教授(常勤)の北村薫子氏と、岐阜大学准教授/大阪大学核物理研究センター特任准教授(常勤)の住浜水季氏)による事例紹介も交え、各大学の理工系女性研究者の状況と取組の紹介とともに、パネリストたちはクロアポ、今後の取組の強化策、大学間連携といったトピックで意見を交わしました。クロアポ実施には制度上の課題もあり、また理系女性人材を増やすためには小中学生を対象とした理系進路の提示を工夫する必要がありますが、そのいずれも大学間連携で成果をめざしたいという点で、4大学の意見は一致しました。

最後に大阪大学の鬼澤佳弘 人事・労務担当理事が閉会挨拶をし、シンポジウムを終了しました。

大阪大学は平成30年2月5日(月)に、今年度2回目のシンポジウムを企画しています。次回はグローバルな視点でダイバーシティを進める企業とともに、これからの国際化社会において大阪大学が取り組むダイバーシティ構想を検討する予定です。ご期待ください。